
プロジェクト報告:グローバル企業のM&Aにともなうシステム統合
6月 12, 2019
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産業分野 : 製造・エンジニアリグ
都 市 :日本(東京・その他都市)
これまで当社は数多くの統合プロジェクトに携わってきましたが、なかでも主要ステークホルダーが複数国に存在する複雑で高度なプロジェクトマネジメントが要求されたケースをご紹介したいと思います。
このプロジェクトは、今も世界的なマーケットリーダーでありライバルでもある商業用製品を製造販売するB2Bグローバルメーカー(A社、B社)によるM&Aで、B社の日本国内のビジネスの衰退により、A社日本法人がB社の国内拠点全てを含めた営業部門を買収したものです。A社の親会社はアメリカに拠点を置き、B社のグローバルの本拠地はヨーロッパにあります。加えて、作業の一部においてはA社とパートナー関係にあるシンガポールのITベンダーもプロジェクトに加わっていました。
競合である2社による買収統合という非常に難しいプロジェクトであることに加え、商文化や言語の異なる地域でのプロジェクトということもあり、A社はこの案件を円滑に進めることができるプロジェクトマネジメントのプロフェッショナルを必要としていました。また、B社においても国内400名を管理するIT部門が存在していたものの、国をまたぐこれほど大規模なプロジェクトの経験や実績は持ち合わせいませんでした。そこで、アジア太平洋地域のバイリンガルITコンサルタントとして既に多くの実績をもつ当社が統括コンサルタントとして選ばれ、プロジェクトのスタートから完了までの全てのプロセスのマネジメントやコーディネーションを実行することになったのです。
買収されたB社では、まずインフラのネットワーク接続をヨーロッパ本社から分離する必要がありました。B本社機能とその従業員は、分離作業が進むなかA本社へ移転する計画もありました。ヨーロッパ本社から切り離されたネットワークは、その後米国にあるA社の親会社へ統合されるという流れでプロジェクトは進みました。
実際のプロジェクト作業を開始するにあたり、当社のシニアサーバーエンジニアとプロジェクトマネージャーがヨーロッパ本社へ打ち合わせのため訪問。約1週間にわたり、サーバー、セキュリティ、ネットワーク、アプリケーション、SAPなどそれぞれの分野について、クライアントの専属チームと、当社の担当エンジニアも日本からウエブ会議で加わりながら分離作業について何度も打ち合わせが行われました。そこでは、B社がデータのバックアップと冗長化の目的で、関連子会社の拠点でもある鹿児島のデータセンターにサーバーを構築しており、日本全国の営業拠点に加えて鹿児島DCでも実際の分離作業が必要になるということも話し合われました。
日本に帰国後も、統合先となるアメリカのA親会社と幾度となくテレビ会議を行い、A社の要件の詳細を確認していきました。その後、ネットワーク設定、VPN、ソフトウエア、セキュリティなどについてB社の既存システムの徹底したシステム監査を実施。詳細な作業工程など必要とされるドキュメントを全て揃えて両社へ提出し、クライアントの承認を得て計画通りにプロジェクトを進めていきました。システム統合は最終的に無事完了し、B社は日本撤退作業を無事に終えることができました。
プロジェクト概要 :
-システム監査(セキュリティ/ネットワーク/VPN/ソフトウエア/アンチウイルス/ドキュメント)
-サーバー/ネットワーク/PC/SAP等のヨーロッパ本社からの分離
-ハードウェア/ソフトウェアの購買調達
-分離されたシステムのアメリカ親会社への統合
-IT機器とオフィスの物理的な移転
-サーバー/ネットワーク/PC/SAP等のヨーロッパ本社からの分離
-ハードウェア/ソフトウェアの購買調達
-分離されたシステムのアメリカ親会社への統合
-IT機器とオフィスの物理的な移転
分野別による作業内容 :
サーバー
- サーバー構築
- 新たなネットワークドメインの作成
- 仮想サーバーの構築
- ユーザーアカウントの移行
- ファイルアクセス権限の設定
ネットワーク
- ヨーロッパ本社からのネットワークの分離
- 鹿児島データセンターへの新たなセキュリティ機器の設置
- 新たなリモートアクセスVPNの導入
- アメリカ親会社への統合
ユーザーPC
- 新たなA社ドメインへのプロファイル移行
- 新たなアンチウイルスのインストール
- 新たなソフトウェアのプロビジョニング(Microsoft Officeなど)
データセンター
- ヨーロッパ本社からのネットワーク分離
- 仮想サーバーへの移行
- 新たな独自ドメインの作成
本プロジェクト/当社Workplace Technology チームの詳細についてはこちらから